坂の上の川平歯科

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長年川平歯科に通ってくださっている患者様より、大変あたたかい当院のご紹介を寄稿いただきました。
私どもの至らない点もありますが、当院の雰囲気をご紹介できるものと思い、寄稿者の了承をいただきまして掲載させていただきます。

坂の上の川平歯科(1)

私の通う川平歯科は、旧頴娃町、今の南九州市頴娃町別府大川地区にある。院長の川平清秀先生は、常々、自らの病院のことを、「日本一立地条件の悪い歯科医院」と言う。
グーグル地図で検索すると、国道二二六号線沿いでJR指宿枕崎線頴娃大川駅のすぐ近くを指すことから、「こんないい所ないぞ。」と思われるだろうが、一度行ってみると、「案外嘘じゃないかも。」と感じる。

国道からトロトロ下っていくと大きな「川平歯科」の看板がある。「なんだ、結構近くジャン!」と思って曲がった途端、「ええっ!」と思う坂が目に入る。ブツブツ、ヒーヒー言いながら登り続けると、再び曲がり角がある。良く見ると駐車場が広がっているためホッとする。
が、さらに強烈な上り坂が目に入る。ここでお年寄りや私のような障がい者は、リタイヤである。歯の痛みも忘れてとっとと「下山?」を始める。

さて、必死の思いでこの心臓破りの坂を登りついたところに川平歯科がある。「大川」の「平ら」な所だから「川平」だろうに、ここは間違いなく「峠の歯科医院」である。こんな立地条件の悪い川平歯科、いつ行ってもがら空きだろうと思われるだろうが、ところがどっこい、いつ行っても患者が多い。昔から飲食産業は、「一に立地、二に立地、三・四がなくて五に立地」と言われる。
飲食産業とは全く異なるが、近頃、乱立気味の歯科医院、立地条件の良し悪しは病院経営に大きく影響するはず…。にもかかわらず、川平歯科は、大盛況なのである。

さて、この摩訶不思議な現象の裏を探るべく足を踏み入れると、「なるほど!」と思えることがたくさん発見できた。

まず、重い手動ドアを開け、入ってすぐに設置してある、自然の木目を大切にした腰掛が患者を迎える。私のような障がい者には、何物にも代えがたい配慮である。
腰かけて靴を脱ぐことで、治療が一歩も二歩も進んだような気になる。さらに、受付嬢の「こんにちは。お待ちしていました。」の一言。最近は、行きつけの居酒屋でもこんな言葉は聞けない。この一言で、受付嬢の年齢など問題にならないから不思議だ。
そして、「◯◯様」の呼びかけ。患者第一の姿勢が伺える。その呼びかけに誘われるように診察室に入ると、まず、大きな鯉の泳ぐガラス張りの池に目が奪われてしまうが、それ以上に、大きなマスクで顔のほとんどを隠した美人スタッフに目が行く。マスクで隠しているが、目を見れば美人であることが分かる。(たぶん!)

診察台に座ると、服が汚れないようにエプロンが掛けられ、冷えないようにブランケットのサービスが続く。まるで、赤ちゃんを大切にする母親の愛を感じ、もうこの辺りになると、患者の方もメロメロである。そして、うがい用のコップ。一時は、ビールメーカーの紙コップが使われたこともあり、のん兵衛の患者にまで細かい配慮が行き渡っていた。